ぺんてるケリーのボールペン化再考

ぺんてるケリーのノック式ボールペン改

「ケリーのボールペン化って前もやったよね」「色が違うだけじゃね」とか言わないでください。もちろん色違いというだけではありません。(ノックボタンもオリジナルになってるし)

2本目のケリーを買ってしまったのです。よく見ると本体のプラスチックは染料とうまく溶け合っていないのか色むらがあって少し残念ですが、そこのところはグッと目をつむります。

前にも書きましたが真ん中のリングと言うかロートレットと言うのか、銀色メッキに輝く部分は好きじゃないので変えました。(後述)

で、この紫もボールペンにしようか、とも考えたのですが、中身を入れ替えたらボールペンにすることができるので、2本とも改造する必要は無いと思いとどまりました。

しかし、先にやったPILOTのバーディーを仕込むやり方は(まだ接着していないとは言え)中身の交換と固定位置の調整が面倒です。簡単に着せ替えする方法を模索したのであります。

外見は先の改造からあまり違った気がしないケリーです。

分解すると、こんな感じになります。

これで一応、ケリー本体にテープや接着で固定することなく、中身を入れ替えることで比較的簡単にボールペンとシャープペンを行き来することができます。(ケリーが1本しかない場合は無理です。念のため)

ケリーの本体は前後に分かれており、真ん中のロートレットに両側からねじ込むことで一体化していますが、真ん中には3㎜位の隙間があります。

この隙間を利用してプラチナの手帳用ボールペンをケリー内部で固定してしまえば良いのではと試してみたのが今回の改造になります。

 

先ず、前回使用したバーディーでは無くプラチナの手帳用ボールペンを選んだ理由ですが、本体の直径が6㎜だったからです。固定するためのリングを作るのに、内径6㎜外径8㎜のパイプは手持ちにありましたが、内径5.5㎜は持っていませんでした。

それから、ノックボタンの加工です(後述)。プラチナはノックボタンがプラスチックに金属のカバーが被せてあるだけですので、このカバーを外せば加工は楽ですが、バーディーは全部金属なので、削るのが面倒でした。この辺をカバーできるのなら、バーディーでも同じように作れると思います。

ボールペンの本体を切って位置調節をしますが、とりあえず長めに切って調整します。どうやらボールペン本体軸の径には個体差があるようで、ケリーの本体軸前部に差し込むと止まる位置が微妙に違います。私の場合は最終的に53㎜になりましたので、そのあたりを参考にしてください。なお、私の2本のケリーには個体差が見つかりませんでしたが、そのほかのケリーについては保証はできません(とは言っても固定するのは真ん中なので、先端が入りにくい時はボールペン側を削れば良いだけです)

ボールペン本体軸の先に短くしたテープでも張れば、とりあえずケリーの本体に固定できるので、全ての動作確認はリングを取り付けする前に行っておきます。

 

偶然ですが、今回は4C芯そのままの長さでノックできます。その分融通も利かないので、どちらが良いのかわかりませんがとりあえず、いつものように4C芯に適当なシャープペンの芯タンクを流用してスプリング止めを作ったら、ノックした時に4C芯と芯タンクがずれないよう、4C芯と芯タンクの内側をカバーできるパイプ(前回と同じく外径3.1㎜、内径2.5㎜のパイプを使っています)を準備して長さが4C芯の後ろと同じになるように切ります。

 

ノックボタンの加工です。ボールペンのノックボタンから金属カバーを外し、ケリーの芯タンクが被せられるように削り、ケリーのノックボタンも10㎜位になるよう削ります。

写真の通り、オリジナルのシャープペンと比べノックボタンは長く出ることになりますが、同じ長さではボールペンとしてのノックをするストロークに足りません。例えキャップを外した状態ではノックできてもキャップを被せると全然足らなくなります。

 

次にリングを準備するわけですが、内径は6㎜、外径8㎜が丁度良いと思います。最終的に3㎜の長さになっていますが、リングを挟んだ状態で順番に前後の本体を締めてみて、先に占めた方を緩め、後に占めた方を更に締めてみた時にまだ動くようであれば、まだ削る余地があるというように判断しながら調整したつもりです。少し甘かったかもしれませんが、動作には問題ありません。

長さを整理します。写真の部品は本体の全長が53㎜、リングまでが14㎜、リングが3㎜、リングから後ろが36㎜です。リングの前とリングの長さは調整で変わる可能性がありますが、リングから後ろは、おそらく36㎜で固定されるはずです。ここが違うとノックボタンの位置も変わるので、キャップをはめるとノックできなくなったとか、色々支障が出る可能性があります。

リングは接着していますが、ボールペンの本体表面は塗装でツルツルなので、少し強度が心配になってドリルで穴を開け芯を差し込んでみました。この辺りの効果は使い続けてみないとわかりません。

 

ロートレット部分は削りこんで内径10㎜のパイプを被せてあります。調子に乗って少し真ん中を削り過ぎていますが、特に影響は出ないので気にしません。組み立ててパイプの長さ等を調整したのちに接着します。

 

組み立てて完成。

こんな風にパーツを取り換えると、ちょっと雰囲気変わって楽しいです。

しばらくは、このパターンで使ってみようと思います。

 

※おまけ「バーディを使った簡易バージョン」

例によって書いているうちに思い付いたので、ちょっとやってみました。

試したのはバーディです。最初にやった改造ではバーディをケリー本体の後ろ側に固定していましたが、ケリー本体内部の先端に当たるまで長く(75㎜位)して、内部全体に入れ込みます。

 

リングも取り付けてみました。外径8㎜内径6㎜のパイプを3㎜の長さに切り、切れ目を入れて(断面が視力検査のマークみたいになります)ペンチで押さえながら接着しており、おそらく強度は十分でしょう。

面倒ならリングは作らず、先端にテープを巻いて押し込むだけでもOKです。別のケリーに入れ替える時でも位置が先端で固定されていますから、位置調節が不要で問題なく使えると思います。

 

この部分の作りは最初に改造した時とほぼ同じで、ノックするのに不足する芯の長さを外径2.35㎜のパイプ(長さは1.4㎜を目安に調整)で補いますが、最初の改造時より4C芯が前方に出ている長さが長いです。

ひとつ前の写真を見てもらうとわかると思いますが、ノックした時に芯タンクがバーディよりはみ出さない位置で調整しないと、ケリー本体にぶつかってノックできなくなりますので、そこだけは注意してください。

あと使う芯タンクは、グラフ500かグラフレット辺りが細くてバーディ内部で引っ掛かりません。

 

外見は最初の改造と変わりません。

ノックボタンにオリジナルを使わないと調整する箇所が少なく割と楽に作れますし、着せ替えも簡単で、おまけにバーディの方が入手も簡単なので、ノックボタンへのこだわりが無ければこちらがお勧めです。

 

ぺんてるスマッシュもボールペン化してみた

ぺんてるSMASH改造ボールペン

前回のエントリーで「シャープペンオリジナルのノック部分を残すのは面倒」とか書いた覚えがありますが、面倒でも残したいノックを持つシャーペンって何だろう。と考えた末、ぺんてるのスマッシュに行きつきました。

実は今までスマッシュを使った事が無く初めて購入したのですが、買ってきて1文字も書くこと無しに分解したのでシャーペン本来の書き味は知りません。少しは試してみれば良かったと、ちょっぴり後悔したところです。

今回も基本的な作り方は今までと同じですが、最初に書いた通りノック部をオリジナルにするため、少々ややこしいことをしています。

先ず手帳用ボールペンですが、本体軸を短くして本来隠れているはずのノック機構内部が見えています。これはボールペンのノックボタンに、更にシャープペンのノックボタンを被せることから他のペンと同じ位置ではノックできなくなるためです。比較用に以前使った時の写真も載せておきます。

今回この状態ではノックできません。

 ↑ 2023/02/04 追記②でこの状態で改造する方法を紹介しました(非推奨)

もちろん、このボールペンのノック部分が完全にシャーペン本体に隠れてしまうほど奥まで入れてしまうとかすれば別なのですが、作っている時にそこまでは考えませんでした。(今書きながら思い付きましたが、その方法なら後述するノックボタンのグラつきは抑えられるかもしれません)

どうにも、こうして手順を整理していると新しいアイデアが浮かんできたりするのは良くあることです。文章は読みづらくなりますが勘弁してください。

 

話を戻します。

スマッシュオリジナルの本体からノック部のゴムを取った状態でノックボタンは本体から14.4㎜程出ています。(私の計測です)

加工したボールペンのノック部分をスマッシュ本体に押し込んだ状態で、ボールペンのノックボタンは8㎜程出ていましたので、6㎜位のスペーサーを作ります。(スマッシュ芯タンク後部の金属部分を利用しました)

 

20230/02/04 追記①

後述の追記②で紹介しているとおり、この芯タンク後部の金属部品はカバーを取ったボールペンのノックボタンに被せられるので、わざわざスペーサーとして切らなくても、置き換えて使うことが可能です。

金具の細くなっている部分を切り取ってノックボタンに被せられるまで削ってあげれば、後は必要に応じて各部の長さを調整することになります。しかし、考えただけで自分では試してないので、すみませんがアイデア出しだけです。

それから、このスマッシュの改造にあたって6㎜のドリルビットを新調しました(作業は手動です)。ヤスリを使って一定の直径に穴を広げるのは無理だと思われるので、特に深い穴を開ける場合は、やっぱりドリルの方が綺麗に穴を広げられます。

 

つまりは、ボールペンのノック部に継ぎ足しでスマッシュ本体から合計14㎜出る感じになれば良いと考えてください。(微妙に短いのはOKですが、長いと本体とノック部分が離れて金属部分が見えてしまいます)

その上で、スマッシュのノックボタンもボールペンのノックボタンが丁度隠れるくらいに短くして被せると、見た目はスマッシュのオリジナルノックボタンと同じになるはずです。

そうそう、写真のとおり今回はスマッシュオリジナルのスプリングを使っていません。本体内部の穴について先端の径が5㎜を切っており、長さを調節する丁度良いパイプが見つからなかったので、手持ちから適当な長いスプリングを流用しました。オリジナルのスプリングを使う場合は、本体かスペーサーか、何らかの工夫が必要になりそうです。

 

ここで先ほどチラッと書いたボタンのグラつきについてですが、スマッシュ本体の穴を広げているため、ノックボタンと本体の間に隙間が出来ています。更にはボールペンのノックボタンもボールペン本体軸の後ろを短くしたことで内部が露出しており、ノック時に左右へのブレを支えてくれる壁がありません。どうしても少しグラつき感が出てしまいます。

「この程度は仕方ないな」と諦めていましたが、先ほど思いついたように、もっと奥までボールペンのノック部分を押し込んでしまうやり方なら、元々のボールペンのノックがグラつかない分、完成品のグラつき感も無くなるかもしれません。

試してみるためにはもう1本スマッシュを買う必要があるので、気が向いたら手持ちの別のペンで試してみて効果があれば紹介したいと思います。

シャーペンのボールペン化はニードルポイントとの相性が良い気がする

元々スリーブがあるから、シャープペンをボールペン化した時の芯にニードルポイントが合わせやすいと考えるのは、単に私がニードルポイント好きだからなのかな。

 

 

2023/02/04 追記②

「気が向いたら手持ちの別のペンで試して」とか書きましたが、良く考えたらもう1本買わなくても改造を進められることが判明しましたのでやってみました。

結果から言うと、ノックボタンが長くなった影響で、やっぱりノックボタンを固定しきれずグラつき感が軽減した実感はあまりありません。

少し期待値が大きすぎたようですが、ノックのゴムカバーから出ている部分にテープ等を巻けば、広げた穴との隙間が減ってグラつき感もあまり気にならない位にはなりました。ただし、この方法は、先の改造方法でも有効な手段なので、わざわざ改造の手間を増やしてまでやることなのか疑問が残ります。

 

真ん中に写っているのは芯タンクの後ろにある金具です。元々の金具は先の改造で切ってしまいましたが、グラフギア500とかグラフ1000とかも規格は同じなので流用しました。

通常とは向きを逆にして、ボールペンのノック部にかぶせてある金属カバーの代わりにはめ込みます。(少し緩いですが固定する場合は最後に長さを調整した後で行います)

写真ではボールペンのノック機構部がむき出しですが、もちろんこのまま使うわけではありません。先の改造で本体軸を短く切ったことで、使用する本体軸も切り直しが必要なので抜き取ったところだからです。

組み立てたところです。もちろんこのままでは長すぎるので、最終的にノック部品を奥まで押し込んだ後で長さを調整します。

ボールペンのノック部は先の改造で「スマッシュ本体から8㎜程度出ている」と書きましたが、これが完全に本体内部に収まるまでスマッシュ本体の穴を深くします。(正確な長さは測っていませんが、10㎜を超えない程度に追加で削りました)

とまぁ、やったのは大体この位ですが、その後の調整に手間取りました。ノック部が奥に隠れている関係で、ちょっとした調整をするのに取り出したり、また入れたりするのが面倒です。多分もうこの方法は採用しません。

 

シャープペンのボールペン化 改良版

少し前にボールペン化したGRAPH1000とGRAPHGEAR500ですが、ボールペンから取り出したノック部品の固定に少々難があり、ノックが安定するまでの調整に時間がかかりました。

よくよく考えてみたら、手帳用ボールペンは細いので、内部構造を取り出さずとも本体ごとシャープペン本体に格納できるのです。

ノックボタンにこだわり、シャープペンと同じにするにはもう一工夫必要になると思いますが、そこまではやっていません。

GRAPH 1000 ボールペン改

GRAPHGEAR 500 ボールペン改

 

というわけで、中身はこんな感じになりました。

前回との違いは、プラチナまたはパイロットの手帳用ボールペンを切って(32㎜位が収まりよいと思います)シャープペンの本体軸に差し込むくらいですが、さすがにそのままでは入らないので、シャープペン本体軸の内部を削って収まるようにします。

あぁ、それからスプリングを元々のシャープペン純正に変えたので、長さが足らずスペーサー的にプラスチックのチューブを切って使っていますが、この辺りは好きなスプリングを使い調整すれば大丈夫です。

プラチナのシャープペンは径が6㎜なので、6㎜のドリルでと思いましたが、我が家にあるドリル刃は軸が膨れるばかりで滑って削れませんでしたので、ヤスリを使いました。

あと少しでボールペンのノック部が入りきりそうなところまで削ったら、仕上げに切り取ったボールペン本体軸の残り部分切り口をヤスリで荒らして、ヤスリ替わりに軸の内部をグリグリします。

こうすると削った内部に段差が出来て止めになるので、奥に入り込んでしまうのを防げるはずです(ヤスリで削っただけだと、ヤスリの形に合わせて削った穴がテーパー状になるため、完成後に位置がずれ易くなります)

なお、パイロットのシャープペンはプラチナのシャープペンより軸が細いので加工も楽なのではと思うでしょうが、GRAPHGEAR 500だと緩すぎて逆に詰め物が必要になりますし、GRAPH 1000だと丁度よい径のドリル刃やヤスリが無いため、切った本体軸の残り部分だけで内部を削っていかなければなりません。まぁステンレス製なので、割とガリガリ削れますけど、それなりに加工時間はかかりました。

 

改良は以上です。その他の加工は、前回の記事で確認してください。

同じやり方で、紹介しているシャープペン以外でもボールペン化は可能なはずなので、気が向いたら試してみようと思います。

 

PILOT S20 をクラッチ見せない芯ホルダーへと改造

PILOT S20 のドロップ式芯ホルダー

PILOT のSシリーズは、主にS3を使ってこれまで何本か芯ホルダーに改造してきました。

S20は値段の関係で気軽に試すことが出来なかったからですが「これはS20で作っておきたい」と思えるような外観にならなかったのも事実です。

S20の芯ホルダーには、シャー坊さんが以前作ったカッコいいやつがあり、何とか真似したかったのですが、材料が出に入らないので諦めるしかありません。

最近はロットリング500や、ぺんてるGraph1000で、クラッチだけ流用して元々の口金を残すタイプの芯ホルダーを作ったこともあり「S20でも出来ないかな」と考えるようになりました。

ところが、これが結構問題で、Sシリーズの口金は、根元の太い部分内側がほぼネジ穴です。ネジ穴を越えると急激に細くなるため、口金内部を削って2.0mmクラッチの可動域を確保することはできません。(ギリでどこまで削れるか試してみましたが、少し削っただけで外から力を入れると口金の先端が歪みました。筆記には耐えられないと思います)

 

考え付いた方法は2つ

①本体ネジ山部分を口金が締められるギリギリまで削ってクラッチを取り付ける

②本体ネジ山部分の内部を削って、その内部にクラッチを格納する

採用したのは②の「内部を削る」です。①だと、かなりギリまで削っても、クラッチの取り付けをしたらノックするストロークが無くなるような気がしました。

 

なお、基本的な改造方法は紹介しません。出来上がったS20が非常に気に入っているので紹介はしたい(つまりは自慢したい^^;)のです。しかし、クラッチをホールドする部分の調整が面倒で、トライ&エラーを繰り返して何とかなったという状況ですので、気軽に「試してみて」とは言えません。

しかし加工自体はそれ程難しいものではありませんので「何をどうしたのか知りたい」方や「チャレンジしてみたい」という方は、まずシャー坊さんのパイロットS20を1.3mm芯シャープペンシルに改造するをご確認ください。基本的な改造方法は同じですし、いつもの事ながら親切丁寧な解説なので、私の説明よりわかりやすいです。

ちなみにドロップ式なので戻り止めのゴムは取り付けません。(念のため)

 

さて、ここからは1.3mmへの改造とは違う点です。

上の写真は口金取り付け部分を加工したものです。ネジ山の先の方には幅のあるリングが入っていますので、先端を削ってリングを取り除いてからクラッチが入りきるよう穴を広げていきますが、後から測ると直径は約4mmでした。奥行きは測っていません。

奥で段になっているのがわかるでしょうか。ここでクラッチが止まりますので、この部分の削り具合が非常に重要になります。クラッチを締め付けるリングを使わないので、段のある所は鋭角ではなく斜めにしないとクラッチの締め付けが弱くなってしまいかねません。

芯を挟んだクラッチが、ネジ山部の少し奥まで完全に格納される必要があります。クラッチが飛び出しているようだと、まったくノックできないか、そもそも口金が根元まで締められなくなります。

 

次に使用するクラッチですが、最初に試したのは最も小さな2.0mmクラッチだと思われるTajimaすみつけシャープ(2.0mm)メタルヘッドです。

写真で見ても比較対象が無いのでわかりにくいかもしれませんが、2.0mmシャープとしては非常に小さいクラッチです。

内部に格納するので小さいクラッチを選んだわけですが、その分調整は困難を極めました。どう削っても強固に芯がホールドできず「強く押すと芯が戻るけど、このくらいなら実用範囲内か」と妥協したのです。

しかし現実は厳しく、しばらく使い続けていると、徐々にホールド力は弱まっていき、ついには芯削りで先端を尖らせられなくなりました。

打開策として、使わないようにしていた「リングをネジ山部の内部に格納してしまう」という手を思いつきます。そのままでは穴に入りませんが、少し周りを削ってリングの肉を薄くしてやると奥まで入っていき、クラッチのホールド力も問題無いようです。

ただ、リングの分クラッチが外に出てしまうため、もう少し穴を深くする必要はあります。「じゃぁ、もう一段奥まで削るかな」と考えたその時「もう少し大きいクラッチでも入りそう」という考えも浮かんだのです。

試したのは株式会社たくみ「ノック式鉛筆」クラッチです。

何と、これに替えたらしっかり芯がホールドされて動かないではありませんか。最初からこれにしておけばもう少し苦労が少なかったのかもしれませんが、それはそれで試行錯誤はあったのだろうと推測します。

上の写真で赤い四角を描いたのは、この部分に通常ならリングがあることを示しています。クラッチを締め付けるリング、その機能を自分で削って作るというのは、想像はしていましたが大変でした。

 

最後にもう一点。

クラッチが奥に入るということは、しかも0.5mmとかのオリジナルより大きいクラッチであるため、普通に芯タンクを差し込むとノックボタンが大きく飛び出します。

S20の芯タンクにはノックボタンを止める段差が付けられているので、組み込んでから調整するのは難しくなりますから注意が必要です。

 

ぺんてるケリーの改造におけるノック式ボールペンへの変貌について

ぺんてる ケリー もノック式ボールペン化

もちろんキャップしたままノックが可能

普段使ってる人ならノックボタンが違うとわかっちゃうか

勢いに乗ってぺんてるの「ケリー」もノック式ボールペンにしてみました。

因みに、ロートレットが標準と違いますが、私はどうしてもあの銀色メッキに輝くあの部分が好きになれなかったので削り落として漆を塗っています。(漆の焼き付けとかいう技法をネットで見て試してみたのですが、直後こそ良い感じに見えたものの、使っているうちにあちこち剥げてきたりして、どう修正しようか悩んでいるところなので気にしないでください)

さて、今回組み込んだのはPILOTのバーディ(BS-40S)で、ノック機構は分解できませんでしたが、ケリーには本体軸ごと組み込む方が加工しやすくてもってこいでした。

 

では改造に取り掛かります。

これが全部品(キャップ除く)

マスキングテープで巻かれているのがPILOT のバーディで、使いたいのは当然ノック機構なので、適当な長さに切ってしまいます。(上の写真は結果として47㎜になっていますが、もう少し長くても大丈夫そうです。逆に短くしすぎるとケリー本体に格納しにくくなったり、場合によってはノック機構を壊してしまう可能性もありますので50㎜辺りを目安で良いのでは無いかと)

当然ですが、このノック機構を組み込んだ位置が重要で、位置によって口金からペン先が出る長さも変わってきますので、先にこの部分を固定してからリフィル側の長さを調整しましょう。

その他の注意点は、クリップを外すときです。溶接されているので、力任せに取ろうとすると(広げていくと思いもよらず簡単に取れます)本体軸の端が歪んでしまい、ノックボタンが動かなくなります。(実はこれやっちゃって、直すのに手間取りました)

 

口金と口金を取り付けるネジの部分(チャックが入っているところ。チャックはニッパー等で切り落としてこの部分だけ取り出します)は、芯が通るようにドリルや、やすりでもって穴を広げます。

GRAPHGEAR 500の芯タンクを流用しました

芯抑えのアダプターとしてGRAPHGEAR500の芯タンクを33㎜位に切って使いました。

この芯タンクはバーディの本体軸に入りますので、長くすると途中でつかえてしまいノックできません。バーディの軸をどの長さに切るかによりますが、芯タンクの太くなっている部分を30㎜~35㎜程度に切るのが良さそうです。

ケリーの全長から4C芯でもノックするには長さが足りませんが、芯タンクで作成したアダプターよりは4C芯が長く後ろに出てしまうので、S3やGRAPHGEAR500でやったように、不要リフィルで長さを補うことはできません。

代わりに、4C芯が中に入り、芯タンクの内径に収まる太さのステンレスパイプ(外径3.1㎜、内径2.5㎜)を手持ち材料の中から取り出してきて50㎜位で切って使っています。

更には、4C芯を使うために不足する長さ(約13㎜)を補うため、外径2.35㎜の真鍮パイプを中に入れてありますが、こちらは不要になった4C芯のリフィルを切って使えば良いと思います。(何なら竹串を削って入れてもOK)

追記:2022/08/24

真鍮パイプを14㎜から徐々に削って調整し直しました。(結果は後述)

繰り返しになりますが、この長さはバーディを固定した位置でも影響を受けますので、削りながら合わせていく以外、ベストポイントは見つけられません。

 

スプリングはバーディ付属のものを使っています。ただ、通常状態でもかなり押し込まれた状態になるので、GRAPHGEAR500のスプリングを使うことも可能です。

この改造のためにGRAPHGEAR500を1本潰せないという方(私の場合は、既に別の改造で使ったGRAPHGEAR500の芯タンクが複数本あったので)は、ステンレスパイプの上に外径5㎜程度のプラスチックパイプを被せて使えば良いと思います。

スプリングが外れにくいよう、先端にステンレスパイプが出るようにしてパイプ同士を接着し、先端にテープを巻いてからスプリングをはめれば、まったく同じ効果が期待できます。(ステンレスパイプは、4C芯が抜けてこないように軽くペンチなどで変形させます)

芯交換は口金を外して・・・これで人前でもスマートに芯交換が可能(笑)

くどいようですが、ノック側を先に固定してペン先の出方を調整しましょう。

バーディはノック時にペン先があまり大きく動かない作りのようで、ペン先を出しすぎると収納しきれず、かといって奥まで収納するとペン先が出足らない。というジレンマに陥る可能性があります。

幸い、テープのみでも結構しっかりと固定できるので、焦らずやれば大丈夫だと思います。完成したら思いのほか満足度高くて自分でも驚きました。

お約束のニードルポイントですが・・・ちょっと微妙かな

ニードルポイントは、もう少しペン先が出せれば完璧なのですが、出すと収納しきれません。(こういうのがジレンマに・・・という話でした)

 

 

あ、そうそう。試していませんが、前回使用したプラチナのボールペンも同じ感覚で材料になりそうです。

ただ、ノックボタンが長い分、ノック機構の固定位置に苦労するかもしれません。でもペン先の出し加減はプラチナの方が調整し易いような・・・

やっぱり、やってみないとわかりませんね(^^;

 

追記:2022/08/22

もう1回、漆の焼き付けに挑戦しました。

今回は黒の漆でしっかり塗り重ねています

拡大するとアラが目立ちますが、細かいことを言わなければ良い出来かと。

 

更に追記:2022/08/24

ペン先の調整

リフィルをニードルポイントやジェットストリームに替えてみると、少しばかりペン先の出方が物足らないので微調整してみました。

ジェットストリーム0.5㎜の尖り具合が気に入ってます。

 

PILOT S3 と ぺんてるGRAPHGEAR 500 もボールペンに改造してみた

S3 と GRAPHGEAR 500 もノック式ボールペン化

一つ前にGRAPH 1000のボールペン化をアップしましたが、アップし終えた直後に、ふとアイデアが湧いてきました。

外見は問題ないにしろ、人前でリフィルの交換とかテープぐるぐるの状態は格好良くない無いな。と思っていたこともあり、ふと、4C芯を使えば人前でリフィルの交換してもスマートなのではないか → 元々シャープペンなんだから、芯ケース加工すれば4C芯を固定出来るのではないか。と思考が進み、試してみようと思ったけど既にGRAPH 1000の手持ち在庫が無かったので、PILOTのS3で試してみることにしました。

内部の構造は同じみたいなもんだし、S3で出来たのならGRAPH 1000でも出来たと考えてよかろう。という身勝手な思考の賜物です。

 

最初は、お約束みたいなものですが、口金を外してガイドパイプを引き抜き4C芯が通るように穴を広げます。4C芯なので真っすぐ開けて磨くだけ。楽です。

 

続いて内部の加工

チャック部分を切り取って取り出した芯タンクの加工前と加工後

取り出した芯タンクはチャックの根元部分が残っているので細くなっている部分の半分くらいで切り落とし、やすりで穴を広げて4C芯が通るようにします。ただし、広げすぎると差し込んだ芯が固定出来なくなるので、適度に抵抗感が残るようにします。

芯タンクが7㎝程度、不要リフィルは4㎝程度に切って調整します

4C芯では不足する長さを不要リフィル等を切って補います。(S3では4㎝程度でした。組み立て時に微調整します)

また、芯タンクは7㎝位に切っています。長いとノックできなくなりますが、4C芯と長さ調整のリフィルが固定出来さすれば良いので、短いのは問題ありません。

スプリングはS3オリジナル、ノック機構は前回使用したプラチナのボールペンです

構造的に目新しい訳ではありません。オリジナルの芯タンクがスプリングの押さえと芯の固定、リフィルの長さ調整部品の固定と大活躍しています。

本体軸は無加工で4C芯が通りますし、スプリングもオリジナルのものが使えます。

ノック機構は、前回のGRAPH 1000と同じくプラチナの手帳用ボールペンから拝借し、同じようにテープを巻いて固定しただけです。(上の写真ではマスキングテープですが、本体軸が半透明のため、黄色はちょっと合わなくてシールテープに変えました)

PILOT S3のノック式ボールペンが完成 ニードルポイントでも似合います

芯の交換は口金を外して古い芯を引っこ抜き、新しいのをはめるだけ。お手軽!

 

ところで、割と簡単に改造出来たため、調子に乗ってGRAPHGRAPH 500にも手を出してみたのですが、これがなんとも手こずりました。

本体軸内部のテーパーがきついのか、テープを巻いたノック機構を入れていくと、途中から凄く抵抗があって入りにくく、そのくせノックをしても芯が止まらずペン先が戻ってしまったり、止まったようでも少し筆圧を上げると簡単に抜けてきてしまったりと、なかなかいう事を聞いてくれません。

色々試した結果、2つ対策を立てました。

芯タンクを2つに分け、後ろの部分はノック機構と一緒にします

一つ目はスプリングの交換。オリジナルは固めなので、プラチナのスプリングと交換して戻る力を弱めます。

二つ目は、芯タンクの後ろ部分を切ってノック機構を一体化し、テープを巻く部分を増やすことで摩擦抵抗を上げます。(もちろんテープの巻き方も少しテーパー状になるよう工夫してみました)

GRAPHGEAR 500 はニードルポイント一択でしょう

結果、とりあえず使える状態にはなりましたが、改めてノック機構の固定は楽なものでは無いと思わされました。

しばらく使ってみて調整があるかもしれないのでまだ接着等はしていないのですが、考えてみると「どうやって接着するのさ!」と問いただされたら答えに窮します。

今思いつくのは、クリップで隠れる辺りに穴を開けてサラサラ系の接着剤を流し込む位でしょうか、それほど強力に接着する必要は無いと思いますが、それで接着出来るのかはやってみるまで分かりません。

まぁ、改造なんて元々結果を保証していないので言えるセリフではあります。

 

そしてGRARH 1000はボールペンへと改造された

ぺんてる GRAPH 1000 改造ボールペン(ノック式)

何が「そして」なのかというような細かい話は兎も角、以前からやってみたかったボールペン化に挑戦してみました。

いつも間にか名前が変わったシャー坊さんが、ドロップ式のボールペンを作ってみえましたが、私がやりたかったノック式が何とか形になったので記しておきます。

 

ノック式ボールペンは「ノックにより芯を固定」できないと筆記具として役に立ちません。しかし、元々シャープペンにそのような構造はありませんので、ボールペンからノックの構造部を拝借してくる必要があります。

で、今回試したのが次の2種類

SLIP-ON 木軸シャープ

プラチナ万年筆 手帳用シャープ

実はこれを見つけるまでに結構時間を要しましたが、どちらを使ってもノック式ボールペン化は可能です。(あと、おそらくPILOTの手帳用ボールペンも使えると思いますが、今のところ内部機構が取り出せません。本体の太さが5.6mmと細めなので、適当な長さで切ってGRAPH 1000の内部を少し削れば、本体ごと格納可能なのではと考えています)

違いはノックの重さと、ノック後の全長でしょうか。SLIP-ONを使うとノックしてもノック部分が伸びたままになるので、ノックして芯を出した感がありません。

2022/8/12追記(訂正) 改めてもう1本分解してみたら、プラチナの方もノックボタンの戻りスプリングが入っていました。最初に分解した際、何処かに行ってしまって「入って無い」ものと勘違いしたようです。

 

続いてはペン先方面の加工。これはどちらも共通です。ちょっと違うのは削る量でしょうか。

ここの加工は毎度の事なので詳しく書きませんが、チャック部分を切り取って芯ケースを抜き取ったら、スプリングが通るくらいまで穴を広げます。なのでスプリングの直径が大きいSLIP-ONの方が穴が大きくなります。

 

ペン先は、ボールペンリフィルのチップが通るまで穴を広げた後、リフィル本体部分がノック時に動けるよう、内部を広げます。

丁度よいドリルの歯が無かったので、3mm位のビットに持ち手を付けて手動でグリグリしました。電動だと一気に突き抜けそうで怖かったし。

ここは、突き抜けないように削ります

わかりづらいかもしれませんが、口金の内部はこんな感じになります。内部を広げてあげないと、リフィル本体部分がつかえてしまい、ノックできません。

このくらい出れば、問題ありません

ここも、SLIP-ONの方がノックのストロークが長いので、深く削る必要があります。(写真はSLIP-ONに合わせたもの)
後は、使いたいリフィルの太さで削る直径も変わってきます。写真はジェットストリームなので、割と細めですね。

 

ノック部分を含めた内部構造は次の通り

こちらがSLIP-ON

こっちがプラチナ

SLIP-ONはGRAPH 1000のノックボタンに丁度収まるよう元々のノック部を削ってありますし、プラチナはテープをひと巻きする程度で収まります。

いずれもリフィルの長さが足らない場合は、古いリフィル等を切って継ぎ足し、長さを調整します。

偶然ですが、SLIP-ONはリフィルが丁度BICのボールペンと同じ長さになりましたので、アクロインクのリフィルなら無加工で使えるかもです。

更に、この時点では仮組なのでノック機構はマスキングテープを巻いて本体軸に押し込んでますが、かっちり止めたい場合は接着するか、クリップで隠れる辺りにドリルで小さい穴をあけネジで締めておけば良いでしょう。(ネジが長すぎるとノック機構が働かなくなる恐れがあります)

まぁ、と言いつつ、マスキングテープでズレずに十分止まっていますので、私はこのまま使うつもりですが。

 

2つの素材を紹介しましたが、結局日常で使用しているのはプラチナの方です。

理由は2つ。①ノックが軽い。②ノック後にノックボタンが押し込まれた感がある。(SLIP-ONは、ノック部分の内部にもスプリングが仕込まれているため、ノック後も長さが元に戻ります。スプリング外したらノック後に収まった感じになりますが、その状態で使用していると、急にノックできなくなったりしてあまりよろしくないみたい)です。まぁ、好き好きですね。

2022/8/12追記(訂正) 改めてもう1本分解してみたら、プラチナの方もノックボタンの戻りスプリングが入っていました。最初に分解した際、何処かに行ってしまって「入って無い」ものと勘違いしたようです。ただ、プラチナはこの戻りスプリングが無くても動作に支障は出ていません。

これはSLIP-ONを組み込んだもの

こちらはプラチナを組み込んだもの

最後にリフィルを私の好きなニードルポイントにしたタイプの紹介しておきますが、ニードルポイントも旧タイプはリフィルが細身だったのに、最近は少し太くなったため、最近のソフトインクを使いたい場合はペン先内部をもう少し削る必要があり、追加作業が面倒でジェットストリームのまま使ってます。

ニードルポイントのGRAPH 1000 やっぱりカッコ良いなぁ