PILOT S20 をクラッチ見せない芯ホルダーへと改造

PILOT S20 のドロップ式芯ホルダー

PILOT のSシリーズは、主にS3を使ってこれまで何本か芯ホルダーに改造してきました。

S20は値段の関係で気軽に試すことが出来なかったからですが「これはS20で作っておきたい」と思えるような外観にならなかったのも事実です。

S20の芯ホルダーには、シャー坊さんが以前作ったカッコいいやつがあり、何とか真似したかったのですが、材料が出に入らないので諦めるしかありません。

最近はロットリング500や、ぺんてるGraph1000で、クラッチだけ流用して元々の口金を残すタイプの芯ホルダーを作ったこともあり「S20でも出来ないかな」と考えるようになりました。

ところが、これが結構問題で、Sシリーズの口金は、根元の太い部分内側がほぼネジ穴です。ネジ穴を越えると急激に細くなるため、口金内部を削って2.0mmクラッチの可動域を確保することはできません。(ギリでどこまで削れるか試してみましたが、少し削っただけで外から力を入れると口金の先端が歪みました。筆記には耐えられないと思います)

 

考え付いた方法は2つ

①本体ネジ山部分を口金が締められるギリギリまで削ってクラッチを取り付ける

②本体ネジ山部分の内部を削って、その内部にクラッチを格納する

採用したのは②の「内部を削る」です。①だと、かなりギリまで削っても、クラッチの取り付けをしたらノックするストロークが無くなるような気がしました。

 

なお、基本的な改造方法は紹介しません。出来上がったS20が非常に気に入っているので紹介はしたい(つまりは自慢したい^^;)のです。しかし、クラッチをホールドする部分の調整が面倒で、トライ&エラーを繰り返して何とかなったという状況ですので、気軽に「試してみて」とは言えません。

しかし加工自体はそれ程難しいものではありませんので「何をどうしたのか知りたい」方や「チャレンジしてみたい」という方は、まずシャー坊さんのパイロットS20を1.3mm芯シャープペンシルに改造するをご確認ください。基本的な改造方法は同じですし、いつもの事ながら親切丁寧な解説なので、私の説明よりわかりやすいです。

ちなみにドロップ式なので戻り止めのゴムは取り付けません。(念のため)

 

さて、ここからは1.3mmへの改造とは違う点です。

上の写真は口金取り付け部分を加工したものです。ネジ山の先の方には幅のあるリングが入っていますので、先端を削ってリングを取り除いてからクラッチが入りきるよう穴を広げていきますが、後から測ると直径は約4mmでした。奥行きは測っていません。

奥で段になっているのがわかるでしょうか。ここでクラッチが止まりますので、この部分の削り具合が非常に重要になります。クラッチを締め付けるリングを使わないので、段のある所は鋭角ではなく斜めにしないとクラッチの締め付けが弱くなってしまいかねません。

芯を挟んだクラッチが、ネジ山部の少し奥まで完全に格納される必要があります。クラッチが飛び出しているようだと、まったくノックできないか、そもそも口金が根元まで締められなくなります。

 

次に使用するクラッチですが、最初に試したのは最も小さな2.0mmクラッチだと思われるTajimaすみつけシャープ(2.0mm)メタルヘッドです。

写真で見ても比較対象が無いのでわかりにくいかもしれませんが、2.0mmシャープとしては非常に小さいクラッチです。

内部に格納するので小さいクラッチを選んだわけですが、その分調整は困難を極めました。どう削っても強固に芯がホールドできず「強く押すと芯が戻るけど、このくらいなら実用範囲内か」と妥協したのです。

しかし現実は厳しく、しばらく使い続けていると、徐々にホールド力は弱まっていき、ついには芯削りで先端を尖らせられなくなりました。

打開策として、使わないようにしていた「リングをネジ山部の内部に格納してしまう」という手を思いつきます。そのままでは穴に入りませんが、少し周りを削ってリングの肉を薄くしてやると奥まで入っていき、クラッチのホールド力も問題無いようです。

ただ、リングの分クラッチが外に出てしまうため、もう少し穴を深くする必要はあります。「じゃぁ、もう一段奥まで削るかな」と考えたその時「もう少し大きいクラッチでも入りそう」という考えも浮かんだのです。

試したのは株式会社たくみ「ノック式鉛筆」クラッチです。

何と、これに替えたらしっかり芯がホールドされて動かないではありませんか。最初からこれにしておけばもう少し苦労が少なかったのかもしれませんが、それはそれで試行錯誤はあったのだろうと推測します。

上の写真で赤い四角を描いたのは、この部分に通常ならリングがあることを示しています。クラッチを締め付けるリング、その機能を自分で削って作るというのは、想像はしていましたが大変でした。

 

最後にもう一点。

クラッチが奥に入るということは、しかも0.5mmとかのオリジナルより大きいクラッチであるため、普通に芯タンクを差し込むとノックボタンが大きく飛び出します。

S20の芯タンクにはノックボタンを止める段差が付けられているので、組み込んでから調整するのは難しくなりますから注意が必要です。