2004/11/10(水) 雨のアントワープに古きビールを訪ねて。

8:00起床。
10:30ころ部屋を出てカンティヨンに向かう。何度来ても1度は道を間違えるのは何故だろう。
入り口をくぐると客は誰もおらず静かで、おかあさんが出て来て対応してくれた。おやじさんも事務所に居るようだったが出てこず声だけが聞こえる。おかあさんの、日本の方?説明は要る?英語?フランス語?との問いに、「イングリッシュ リトル。ヴィジット ノット ファースト。ノープロブレム」等と答えると笑いながら日本語の解説書を渡してくれた。
天候のせいか、結局、最後まで誰も他の客が入って来なかったので、一人で見学を堪能することが出来たが、途中から降って来た雨が屋根に当たる音と、時折聞こえる話声。静かな時の流れはまるで別世界のようだった。
昨年がどうだったのか忘れてしまったが、屋根の瓦は隙間に挟んであった古い瓦が無くなっており、完全に葺き替えが終わったと感じた。
各器具が掃除したばかりのようなので「あれ?」と思っていたら、今までとは訪れた時期が違うからだろう、何回かは知らないが醸造も行なわれたようで、詰られて間もないと思われるランビックの樽が並んでいた。栓はされていたから1、2週間経ってるのだろうけど、栓の隙間からはまだ泡を吹いており、ピチピチと音を立てているのに気が付いて、しばしの間立ち止まり聞き入ってしまう。今こうやって自分が立ってる目の前で今年のランビックが生まれて行くような気がして嬉しくなってしまった。
一通り見学を終えると、先ずはグースとクリークの2杯を貰って飲んだ。今年こそもう寒くなってるから作ってるだろうとファロを所望したのだが今は作ってないと言われ、ならばランビックは?と聞くも、こちらも断わられた。うーん、私の気持ちはどのくらい伝わっているのだろう(^^;
仕方無く、グースとフランボワーズの2本を買ってカンティヨンを後にする。
カンティヨンを出てミディ駅のコインロッカーに買ったばかりの2本を入れると、アントワープへ。雨は段々激しくなり、横殴りに吹き付けてくる中をクルミトナールへ向かった。
店に入ると客は私だけ。メニューを眺めているとブーンのオウドグース98-99が目に入り、3フォンテーネンが頭にあったので思わず注文したのだが、出てきたのは01-02のもので何だか騙された気分になる。
続いて一昨年おやじさんに薦められた stille nachtの1982年を注文。 2年前に飲んだ記憶と比べて少しも衰えていない。実に22年前のビールである。驚くほか無い。10ユーロの価値は十分にあると思う。
この間に2組の客が来店。一組はビジネスマンが2人という風体で話をしながらもタイプの違うビールを私が帰るまでに4種類飲んでいたが、カンティヨンのラベルが見えた時は思わずニヤリとしてしまった。
さて、3本目を何にするか迷ってしまう。
おやじさんは何処かへ出かけてしまっていたので、おかあさんに、同じアビイタイプで年数の古い、しかも聞いたことのない名前を選んで注文してみるが、それはもう無いと言われてしまった。それならばと思い「ユア・スペシャル・プリーズ」と言ってみたら、おかあさんははにかんで「ノー」「ノー」と手を振りながら後ずさりするではないか。
しかし、流石は商売人。遠慮がちにではあるが、アビイタイプなら同じ82年のこのビールを試してみる?みたいな事を言いつつ1本出して来たので、そのビールを貰う。
gardinal - hofbrau 82
stille nachtと近い路線であるが、はっきり言って味が薄っぺらい。年数に耐えられなかったのか後口にやや感じの良くない苦みも残り、残念であった。6.50ユーロが、やけに高く感じる(笑)
飲んでいるとおやじさんが戻って来て、更に客が1人。常連らしく陽気に話し込んでいる。私は座りっぱなしで3本飲みフワフワしてきたので、寝てしまう前に金を払い店を出ると外はもう日暮れ。雨は止んでいたが、夜のアントワープは初めてだな。等と考えつつ、酔い醒ましの散歩を兼ねて歩いていたらお約束のように道に迷ってしまった。
うろうろしてたら何とか知ってる場所に出れたので、そこから通りの名前を確認しつつ歩いてクインティンマトシースに入る。
店内は、2組ほど客は居たものの存外静かで、やはりデコーニンクとソーセージを注文。帰りがけに奥さんと話をしたが、今日は悪天候のため1日中暇だったとか。合うのは3度目のはずだが、しっかり覚えていてくれたのが嬉しかった。
駅に戻り、19:40発に乗ってブリュッセルへ。途中はやはり完璧に寝ていたが、中央駅の辺りで目が覚めるから不思議である。部屋へ戻ると一旦眠りこんだのだが、3時頃に何だか目が冴えてしまい、飲み直してからまた寝た。